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    かけはし2021年2月22日号

森辞任で幕引きならず


2.12晴海で抗議のアピール

オリ・パラ組織委員会


 
 森喜朗・オリパラ組織委員会会長の女性差別発言に対する抗議の声を受けて2月12日に急遽開かれた組織委員会の理事会と評議員会の合同懇談会で、森喜朗は辞任を表明した。当初、日本サッカー協会相談役で選手村の村長に就任している川淵三郎氏に「禅譲」しようとしたが、差別発言の本人が次期会長を指名するなどあり得ないという批判が高まり、結局は次期会長選考委員会の設置とジェンダー平等検討プロジェクトチームの設置などが発表された。選考委員長は組織委員会の名誉会長の御手洗富士夫キヤノン会長が就任。他の選考委員は非公開だという。御手洗は06年の第一次安倍内閣から10年の民主党政権までのあいだ経団連会長を務めた人物。当時問題になっていたキヤノンをはじめ大手メーカーの偽装請負は法律が悪いからだと国の諮問会議の場で発言して製造派遣の期間を3年に延長したり、法人税率の10%引き下げなどを提唱したことでもわかるように、セクシズムとキャピタリズムの祝賀資本主義の象徴であるオリパラの最後を飾るにはふさわしい人物と言える。
 合同懇談会が開かれた組織委員会のオフィスが入る晴海のトリトンスクエアでは、東京2020の中止とオリンピック・パラリンピックの廃止を求めるスタンディングが行われた。緊急の呼びかけにもかかわらず30人以上が集まった。行動を呼びかけたのは「五輪災害おことわり連絡会」。野宿者排除に抗議して何度も組織委員会に抗議してきた反五輪の会は「森辞任で幕引きなんて許さない! 性差別者たちのための砦 オリンピック・パラリンピックを廃止せよ!」の声明を発表、森の女性差別発言に抗議する声明を出したふぇみん婦人民主クラブの会員や武器取引反対ネットワーク(NAJAT)のメンバーなどが、森の辞任で幕引きを図ろうとする組織委員会の対応や、コロナ禍の中での五輪強行の愚を批判し、根深い差別と競争主義にまみれたオリパラは止めるべきだと次々に発言をした。2月20日には日本オリンピック委員会(JOC)への抗議スタンディングも呼びかけられた。

人びとの怒り
は収まらない


森発言に対する女性たちの怒りは本物だ。男社会のヒエラルキーが貫徹された競技スポーツに君臨するミソジニスト(女性嫌悪主義者)の本音が、コロナに追い詰められた組織委員会のトップから噴き出した。森は懇談会後の記者会見でも「私自身は女性を蔑視するとかなんとか、そういう気持ちは毛頭ありませんし、これまでもオリンピック・パラリンピック、いわゆる障害のある人、ない人、みんな同じだよということですべて同じように扱って、議論してまいりました」と弁明している。だがみんな同じなわけがないのだ。抑圧され、差別された人々は、「そういう気持ちは毛頭ありません」などとうそぶかれればうそぶかれるほど、その深層の意図を鋭く感じ取る。しかも森の発言は、その瞬間にその場にいた記者が「これはアウトですよね」と同僚に語っているほどの内容だ。一旦は「問題は解決した」というコメントを出したIOCからもついには「完全に不適切」と言われる始末。自らの利益と権威のためにはすぐに翻意するIOCならではの対応だ。最後まで自らの差別発言とパワハラに頬かむりをして、周囲の無理解の所為にしつづけた森喜朗は、首相時代から20年が経った今でも全く変わっていなかったのだ。それはまた苦難と闘争の20年を歩んできた女性たちの歴史でもある。
東京オリパラの即時中止を発表し、東京オリパラにおける数多の問題を検証する開かれた委員会を設置せよ。森喜朗はじめ公人らの女性差別発言の再発防止、可能な限りのクオーターを実現しよう。コロナと貧困対策、そして原発被災者と原発廃止と気候変動対策にすべてのリソースを集中せよ。
被災地の悲しみ、女性たちの怒り、コロナとたたかう人々の叫びが祝賀資本主義の饗宴の前に立ちはだかっている。ポスト・コロナとポストTOKYO2020の混沌たる状況をともに最前線で切り拓こう。      (H)




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